MESSAGE

1977年に富士重工業に入社。安全性能に関する技術者として活躍し、アイサイトのプロジェクトにも関わる。のち常務執行役員 スバル技術本部副本部長を経て、2014年にSTI社長に就任。SUBARUの技監も兼任する。

お客様の信頼のためにSTIができること

まず、昨今の完成車検査問題等で、ご購入いただいたお客様にはご心配をおかけしてしまい、たいへん申し訳なく思っています。

数多くある自動車ブランドのなかから、わざわざSUBARU/STIをお求めいただいたわけですから、本来であれば日々の生活のなかで安心して、喜んで乗っていただけるようにしなければならないのに……。その信頼を取り戻すためには、なぜSTIがSUBARUから独立して存在しているのか。そういうところにまで立ち返り、今後の進むべき道を考えていかねばならないと思っているのです。

モータースポーツを通じて技術を磨き、お客様に誇りをもってSUBARUにお乗りいただき、その過程のなかで色々な経験をとおして生活を豊かにしていただくこと。STIはそのためにあります。クルマは人が乗り込み一体になって動かすという特殊な工業製品ですから、今回のようなことがあってはならない。ですからもう一度、お客様にご心配をおかけしてしまったことを真正面から真摯に受け止め、やるべきことをひとつひとつしっかりとやっていくという心構えでいます。

原点に立ち返るモータースポーツ活動

それはモータースポーツにおいても然り、です。SUPER GTでは、SUBARU BRZ GT300のボトム速度を上げること、コーナーからの立ち上がり速度を上げること、ストレートでの最高速を上げること、ブレーキングでの減速度を高めること。これらを愚直にやっていき、4ℓ~5ℓという大排気量のライバルたちと戦えるような基礎体力をオフシーズン中に積み上げることに尽きると思っています。車両規定の難しさはありますが、それを小手先でごまかそうとせず、原理原則に基づきしっかりとした取り組みを行っていきたいと思っています。レースの検証にしても、表層的な振り返りではなく“自分たちがその時にどう考えてどう判断したのか”という点、経緯や技術的な裏付けも含めて、しっかりと行う。課題に対し、逃げずに愚直に取り組んでいくこと。技術で正面から対処していくという本来の姿、開発の原点に立ち返ります。それをやっていくのが本来のSUBARU/STIの姿だろうと。おそらく、私たちに声援を送ってくださるお客様は、そこに早く気がついて、モータースポーツでも、量産車でもそういう姿勢でやってほしいと思っていらっしゃるのではないか。おこがましいですが“SUBARUならできるはず”と、信じて最後まで応援してくださっているのではないかと考えています。ですから私たちは、今後のモータースポーツ活動に対して開発の仕方を全面的に見直し、ご期待に応えるよう真正面から攻め込んでいこうと、試行錯誤している最中です。

ニュルブルクリンク24時間レースでは、2018年はクラス優勝することができましたが、パワーステアリングシステムからのオイル漏れや漏電など、品質の問題がありましたので、今後は品質管理を徹底して信頼の回復に努めていきます。それと同時に、次期車両に向けて様々な制御プログラムを見直し、統合制御を行うべく準備を進めています。

従来から取り組んでいる人材育成という面では、18年にはディーラーメカニックに加えて、SUBARUのエンジニアが2名チームに参加しました。量産車開発では“体験を伴う経験”を得るのには数年単位で時間がかかります。それがレースでは、例えば2週間に集約したような経験ができる。開発部門から選抜された若手に参加してもらうことで、濃密な経験を積んだ若手エンジニアをSUBARUにどんどん増やしていきたい。事実に基づいて次の課題を予測し、先行して対策する。課題形成能力はレースの世界、特にニュルブルクリンク24時間では大切です。そういう力を養ってほしい。目の前に見えるモノの先に、何が予測されるのか。それを技術の切り口でちゃんと課題形成する。開発している若手のメンバーがそれを体験して、経験者が増えることで、さらに高い品質のクルマづくりにつながるものと信じています。

世界のお客様との絆を深め「SUBARUファミリー」に

ニュルブルクリンク24時間レースやSUPER GTなど、モータースポーツの現場にも積極的に足を運び、ドライバーたちともコミュニケーションを密にする。

私たちは設立以降、WRC(世界ラリー選手権)を通じてブランドを築き上げてきました。世界一を目指して戦う姿をひと目見れば、必ずやSUBARUのファンになっていただける。それはいわば“お客様とダイレクトに繋がる架け橋”でした。この架け橋をもとに、インプレッサ22B‐STiバージョンを原点とする一連のコンプリートカーを世に送り出し、お客様との絆をさらに深めることができました。

しかし活動休止から月日が経てば、どんなに強い絆もやがて弱まってしまうことは避けられません。これは私たちにとって大きな課題です。

SUPER GTやニュルブルクリンク24時間レースだけでなく、お客様が使ってくださっている“SUBARU車そのもの”でのモータースポーツ活動も望まれていると思っています。ただ、現状ではSUBARUのラインナップで参戦できる世界選手権レベルのカテゴリーがないのが実情です。

それならば、私たちがこれまでモータースポーツ活動で培ってきた技術そのものが新たな架け橋となり得るのではないか。そう考えました。

そのひとつが2016年から取り組み始めたSTI Sportです。コアなお客様の周辺にいる方にもSUBARU/STIに興味を持っていただいたり、理解していただきたい。STIを知らない方にも伝わるようなことを、ひとつひとつやっていく。そうやって絆を強めていく方法があるのではないか。

それでひとつの“ファミリー”を形成したいと思っています。そのためには、自分たちが元気に一歩一歩前進している姿を見ていただかなくてはなりません。だからこそ、SUPER GTやニュルブルクリンク24時間レースなどのモータースポーツにいっそう真摯に取り組んでいきたいと思っています。

もちろんコンプリートカーもひとつの手段です。これらは“自分たちが確認できて、満足できたものでなければ出さない”という明確な基準があります。今後は、たとえばS208などのクルマを、他の主要市場でも展開するような取り組みを中期的な視点で考えています。時々STIギャラリーに出ると、成田空港や羽田空港からここに直行してきたという外国からのお客様がお見えになっている。そういったコアなお客様との絆をよりいっそう深めるためにも有用だと思っています。

また、このたびSTIギャラリーをリニューアルしました。設立30年といういい節目なので、今までのお客様との絆を深めてきた手段や歴史をきちっと表現できるようなものに整理整頓しようと思っています。これまでお客様にお見せしていなかった秘蔵のものも一堂に並べていますし、トークショーなどのイベントにも活用し、お客様との絆を深めていきたいと思います。すでに2018年には茨城県の筑波サーキット、愛知県の美浜サーキットで、クルマを走らせながらコミュニケーションをとる場を設けさせていただきました。お客様と直接会って話をする、こういった場を今後は全国に拡げて本格的に進めていこうと考えています。

東京オートサロンでのSUBARUブースはある意味“相互コミュニケーション”の場にしたいと思っています。完成車を品定めするだけの場ではなく、パーツやコンセプトカーなどを見ていただき、お客様との対話を通じてSUBARUファミリー全員の夢が広がっていくような場にしたい。それはオートサロンの原点ではないのだろうかと、そこをあらためて見直していこうと考えています。

また、そうやって直接対話させていただくことが、SUBARU/STIへの信頼回復にもつながると感じています。

最後に、詳細はあらためてお伝えしますが、3月10日の日曜日には、静岡県の富士スピードウェイで初となるSTIのファンイベントを開催する予定でいます。その後も四半期に1回くらいのペースで、サーキットやトークイベントなど、色々な場所でお客様と直接向き合いながら、クルマづくりや将来に向けた会話ができるようにする場を考えています。

今後のSUBARU/STIにご期待ください。

TOKYO AUTO SALON 2019

主催:東京オートサロン事務局(TASA)/
東京オートサロン実行委員会

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