SUBARUと思いを共有する人とがつながることで、新たなプロジェクトが動き出す現場をレポートするスパナくんの連載企画。今回は北海道中川郡美深町を訪ねました。美深町は2022年3月「豊かで美しい自然と農村環境を未来の子どもたちへ引き継ぐことができるように」2050年に二酸化炭素実質排出ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ」を宣言しました。「大地と空と自然が広がる地球の環境保護こそが、未来への持続性を可能とする最重要テーマ」と考えるSUBARUも想いは同じ。両者がつながることで新たなプロジェクト「SUBARUの森」が誕生しました。
美深町は森林資源を循環的に利用しながら二酸化炭素の排出を削減するなど、自然と調和したまちづくりを進めています。2021年には地元の木材を72%以上使った「美深町立仁宇布小中学校」の新校舎が完成。国際森林認証制度SGECプロジェクトCoC認証を取得しました。また、今年8月には美深町の取り組みが「森林×脱炭素チャレンジ2023森づくり部門」で優秀賞(林野庁長官賞)に選定されました。
北さん「美深試験場」は美深町の仁宇布[にうぷ]という樹林帯の中にあるんだ。「高速試験路」やアイサイトの開発に使う「高度運転支援技術テストコース」などの施設もあるけど、361ヘクタールという敷地のほとんどは自然の森なんだ。2017年に「SUBARU環境方針」を改定してSUBARUは自然との共生を目指した取り組みに注力するようになったんだ。そこで当時、CSR環境部(現在のサステナビリティ推進部)にいた私が美深町に毎月足を運んで、試験場のある森をはじめ、美深町のためにSUBARUにできることは何か、町の皆さんと約1年間話し合いを繰り返したんだよ。
草野さんその結果2018年に「SUBARUの森」活動における町内の森林保全と自然保護活動の具体的な取り組み内容が決まり、協定書を締結したんだよ。
草野さんSUBARUの人たちが毎年冬に美深町に来るようになってから交流が生まれ、1987年に「美深スバルの会」(現在はSUBARU美深会)を結成したんだ。当時は私も町の企画課のスタッフとして会の立ち上げに関わったよ。これまでにSUBARUの本社訪問や美深に来るスタッフとの交流会、群馬県太田市との相互交流も行ってきたんだ。2018年に開催した「美深町開拓120年記念植樹祭」にはクルマのリサイクル材で作った軍手や、間伐材の加工品などを参加者への記念品として提供してもらったんだ。
北さん美深町の他、SUBARUの事業所がある栃木県宇都宮市や群馬県にも「SUBARUの森」を作り、周辺の森林の植林や間伐、自然保護などの活動を進めているよ。これからはもっとSUBARUのスタッフが積極的に参加できるようなプログラムに発展していくことを願っているよ。
草野さん「SUBARUの森」をキッカケにして、多くの方々に美深に足を運んでもらえるといいな。木質バイオマスボイラを使ったびふか温泉に泊まってもらったり、松山湿原を散策して名水を味わってもらったり。みんなに美深の豊かな森の恵みを体感してほしいんだ。
草野さん北海道の北部、稚内市と旭川市のほぼ中間にある町なんだ。自然資源が豊かで北海道第2の大河「天塩川[てしおがわ]」が町の中央を南北に貫いていて、町の面積のうち85%は森林なんだ。昔から林業と農業を営んでいて、最近はキャンプや天塩川でのカヌーなどのレジャーも盛んだよ。冬はマイナス30℃以下になることも多く、積雪も150㎝を記録する豪雪地帯でもあるんだ。
北さん北海道の中でも特に過酷な極寒・豪雪地帯なので、SUBARUでは1970年代からこのエリアで極低温環境での走行性能や暖房性能、雪害や走破性などの評価を行っていたんだ。そんな経緯を経て1995年に「SUBARU研究実験センター美深試験場」を開設したんだよ。