厳冬期の1月末、一面の雪景色に彩られた「北の住まい設計社」ショールーム前で。夕陽にボディカラーが映える、レガシィ アウトバック Active × Black [Limited EX 特別仕様車]
Photographs●小川宏子 Text●塩田典子
SUBARU on the Road
お気に入りを探しに木工家具の聖地へ
北海道旭川市〜上川郡東川町
厳冬期の1月末、一面の雪景色に彩られた「北の住まい設計社」ショールーム前で。夕陽にボディカラーが映える、レガシィ アウトバック Active × Black [Limited EX 特別仕様車]
Photographs●小川宏子 Text●塩田典子
原料となる樹木に恵まれ、木工伝習所が設けられていたことから昭和30年代から家具製造が盛んになった旭川。現在は隣の東川町を含む100余りの木工メーカーや工房が点在し、個性豊かな家具がつくられている。技術の高さもさることながら、3年に1度開催される「国際家具デザインコンペティション旭川」を通じて、デザインにも磨きのかかる木工家具をひと目見たいとカシミアゴールド・オパールのレガシィ アウトバックで向かった。
旭川家具の変遷を知り
父子で受け継ぐ工房へ
5年前、旭川空港で目にした手描き風のMAP。旭川のお隣、上川郡東川町に点在する家具とクラフトの店が紹介され、いつか訪れてみたいと夢見ていた。昨年4月、約30の旭川家具・クラフトメーカーが一堂に集まり、常設ブースで木工家具を販売する旭川市の複合施設「旭川デザインセンター」がリニューアルされたと知り再訪することに。今回新設されたのは旭川家具の歴史や技術、デザインの変遷を学べるミュージアム、木工小物のワークショップを開催するラボ、クラフト土産が見つかるショップの3ゾーン。ミュージアムでは木工業発展を目的に旭川に木工伝習所を開設、日本の伝統的指物技術の習得を経て、箪笥などの箱物から洋風家具の脚物へと変遷した家具づくりの歴史に触れ、歴代の椅子作品や「国際家具デザインコンペティション旭川(IFDA)」の受賞作品を鑑賞、旭川家具の技術の高さとデザインの幅広さを知ることとなった。約30のメーカーのブースを巡って好みの家具を選べるだけでなく、週末にはスツールなど6種の木工体験を通じて、ものづくりにも親しめる。予備知識を深めたところで、一路、東川町の工房を目指す。
螺旋階段が目を引く1階エントランス。「ADC GALLERY」では企画展「SOFA! SOFA! SOFA!」を開催中(〜6月2日)。
旭川デザインセンターの「ADC MUSEUM」では、旭川とその周辺で作られてきた歴代の椅子の展示に圧倒される。
東神楽町在住の椅子研究家・織田憲嗣氏が長年収集してきたコレクションから世界の名作椅子の展示も。
「ADC LAB」では木のスプーンも製作できる。
季節は1月末。寒波襲来で豪雪に見舞われる中、レガシィ アウトバックを走らせる。髪も凍りつく零下10℃の屋外をよそに、シートの座面と背もたれ、ステアリングにヒーターが効いた車内はまさに極楽。旭岳温泉へ至る道道1160号を進むと、無垢の板張り壁と三角屋根が印象的な「アートクラフト・バウ工房」に到着。大雪山の美景に魅了され、約40年前に移住した大門嚴[たけし]さんと和真[かずま]さん親子が出迎えてくれた。工房兼ギャラリーで目を引くのが一見、布と見まがうような作品。座布団みたいな木ション・スツールやクロスみたいな木ロス・BOX。抽斗[ひきだし]を無造作に重ねたように見える20種の木材を用いたチェストも。無垢材を用いて「家具の用途を満たし、かつアート性もある、気持ちが豊かになる家具」を目指す父・嚴さん。一方「シンプルで飽きのこない、使い込むほど味の出る家具」を志す息子の和真さん。それぞれ趣向は異なるが共通するのは確かな指物技術。抽斗[ひきだし]の組み立てや脚の取り付けなど細やかな手技が光る。
「アートクラフト・バウ工房」の大門嚴さん(左)とその背中を追う息子・和真さん(右)。お互いが切磋琢磨しながら常に新しい作品が生み出される。
使い慣れたカンナで木組みの調整を図る。
1階ギャラリー。金具を使わず、指物技術を駆使した昔ながらの木組みでつくられるから、細い脚でも丈夫な作りに仕上がる大門親子の作品群。一輪挿しやカトラリーケース、トレーといった手頃な小物も販売。
木ション・スツール(手前)33万円、木ロス・BOX(左奥)55万円。
2014年の「IFDA」でメープルリーフ賞を受賞した、大門和真さん作「Wind Stool」(非売品)。脚のラインの美しさに魅せられる。
何百年も土の中に埋もれ濃い色へと変わった、道産ナラ材の埋れ木の一輪挿し7,000円。
2階には子ども用のかわいい椅子が6脚。これらは2006年に始まった、町内で生まれた新生児に道産の無垢材で作る椅子を贈る「君の椅子」プロジェクトで、お二人が手がけた作品。毎年著名な建築家や美術家がデザインし、町内の工房が製作する。出生日や名前も刻まれる世界に一つの椅子。家具の町の素敵な取り組みに心が温かくなった。
大門父子による「君の椅子」。2006〜2021年にかけて、嚴さん、和真さんが手がけた6脚を展示。
衣食住を通して
ライフスタイルを提案
バウ工房で遊び心あふれる家具に出会った後は、道道940号を経て、クラフト街道の先に広がる、木々に囲まれた集落のような一角へ。ここ「北の住まい設計社」は1978年、旭川に設計事務所として設立。8年後に東川町に移住した渡邉恭延[わたなべやすひろ]さん・雅美さんご夫妻が廃校になった小学校に家具工房を構え、北海道産無垢材や天然塗料、生地を用いて家具を作っている。現在は木材の保存庫も設け、防腐剤や防カビ剤に頼らず木の乾燥から手がける。ショールームで人気のエクステンションテーブルも金具を使わない日本古来の指物技術で作られ、ソープ仕上げという人体に安全な塗装方法を活用。顔料にはエッグテンペラという水、亜麻仁油、卵を繋ぎにした自然顔料を使うこだわりよう。別棟のカフェには溶岩窯で焼き上げた道産小麦の全粒粉パンがずらり。国内外からセレクトされた体にやさしい食材が並ぶ食品コーナーにも圧倒される。ショールーム1階では北欧雑貨も扱い「家具と住空間は父が、衣食は母が担当。暮らしをトータルに提案できたら」と広報担当の娘・牧野やよいさんは話す。自社家具が配されたカフェでは道産野菜や小麦粉、牛肉や乳製品を使ったパスタやピザ、デザートが季節替わりで提供される。スウェーデン製の薪ストーブが燃える店内で熱々のニョッキを頬張った。一面の雪景色に浸り、今にも息遣いが聞こえてきそうな香りと温もり溢れる木工家具に身を預け、北海道の豊かな食材からなる旬の料理をいただく。
このかけがえのないひとときが、心と体に負担のかからない心地よさをもたらしてくれた。外に出ると木々や建物に新雪がこんもりと。まるで絵本に出てくる北欧の小さな村に迷い込んだかのよう。雪原の中でカシミアゴールド・オパールのレガシィ アウトバックが輝きを放っていた。
「北の住まい設計社」のベーカリーには、常時20種ほどのパンが並ぶ。小麦粉も牛乳もバターも野菜も北海道産。十勝産小豆たっぷりの全粒粉の粒あんぱん162円が人気。
谷口農場のキタアカリと道産小麦を使ったニョッキに、自家製トマトソースと有機モッツァレラチーズがたっぷり。じゃがいものニョッキオーブン焼き(スープ・パン付き)1,430円
カフェの家具や内装も自社によるもの。
ショールームには、一人の職人が完成までを手がける多彩な家具が並ぶ。
ブラックパーツがアクティブかつ上質感を創出する、特別仕様車。
旭川デザインセンター~アートクラフト・バウ工房~北の住まい設計社
旭川デザインセンター
北海道旭川市永山2条10丁目1-35
TEL:0166-48-4135
OPEN 10:00~17:00
休館日:火曜日(祝日を除く)、年末年始、お盆
入館料:無料(木工体験〈土日のみ〉は1,100円〜)
https://asahikawadesign.com
アートクラフト・バウ工房
北海道上川郡東川町西町9-4-1
TEL:0166-82-2213
OPEN 9:00~17:00
定休日:日曜日・祝日(不定休)
http://baukoubou.com
北の住まい設計社
北海道上川郡東川町東7号北7線
TEL:0166-82-4556
OPEN ショールーム・ベーカリー・食品館10:00~18:00、カフェ11:00~17:00
(食事14:00LO、デザート・ドリンク16:30LO)
定休日:水曜日(ベーカリーのみ火・水曜日)
https://www.kitanosumaisekkeisha.com
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