カートピア12月号 SUBARU on the Road

キスゲ平から大笹牧場方面へと向かう栗山日光線。霧降高原という名の通り、一面霧に覆われることも多い。
Photographs●小川宏子 Text●中森りほ

SUBARU on the Road

身も心もうるおう
冬の温泉郷へ

栃木県日光市〜那須塩原市

キスゲ平から大笹牧場方面へと向かう栗山日光線。霧降高原という名の通り、一面霧に覆われることも多い。
Photographs●小川宏子 Text●中森りほ

冬の大自然を愛でつつ温泉で心身を温めたい。
そんな気持ちを胸に、雪景色にも映えるプラズマイエロー・パールのSUBARU XVに乗り込み、栃木へ。
標高約1500メートルの天空回廊[てんくうかいろう]から、遠く東京や鹿島灘[かしまなだ]までを望み、温泉や足湯で体を温め、かまくらの灯りやレストラン&ギャラリーでホッと一息。
年末年始で忙[せわ]しなかった心もほころぶはず。

天空回廊を上ると広がる
大自然の絶景


11月の終わり、曇天の東京から東北自動車道で北へ。栃木に近づくにつれ、青空が広がり始め、日光宇都宮道路日光ICに着く頃には晴天が私たちを出迎える。道の向こうにそびえる雄大な日光連山も暖かな日差しに照らされ、心なしか穏やかだ。ICを降り日光街道へ向かい、霧降高原道路(県道169号)を進んでいくと霧降高原キスゲ平[だいら]園地に着く。キスゲ平は赤薙山[あかなぎさん]の中腹、標高1300~1600メートルにかけて広がる高原。元々はスキー場だったが、現在は遊歩道と天空回廊と呼ばれる1445段の階段が整備され、一年を通して美しい眺望が広がる。特に空気が澄んだ冬の見晴らしは抜群。東京スカイツリーや富士山、果ては鹿島灘までを大パノラマで見渡せる。積雪地帯のこの地域は冬になると一面真っ白な雪景色に。ソリゲレンデも登場しスノーアクティビティが楽しめる。

霧降高原キスゲ平園地から見た北側の眺望。ここは丸山や赤薙山、女峰山(にょほうさん)へと向かう登山道の入口でもある。

霧降高原キスゲ平園地から見た北側の眺望。ここは丸山や赤薙山、女峰山(にょほうさん)へと向かう登山道の入口でもある。

955段、標高1,500メートルにある1つ目の展望台からの眺め。運が良ければ雲海も見られるという。

955段、標高1,500メートルにある1つ目の展望台からの眺め。運が良ければ雲海も見られるという。

955段地点にある1つ目の展望台を制覇した満足感と共に、レストハウス2階にあるレストラン「日光霧降珈琲」へ。こちらではカレーやそば、うどん、ドリンクなどの軽食がいただける。おすすめはブランド牛を使った「とちぎ霧降高原牛カレー」と、地元のコーヒー店がオリジナルでブレンドした「霧降高原ブレンド珈琲」。マイルドな味わいのカレーに、注文してから豆を挽き丁寧にフレンチプレスするコーヒー、そしてスタッフの気さくな接客に心が和む。館内には四季折々のキスゲ平の写真が飾られているのだが、特に6〜7月にかけて黄色い花を咲かせるニッコウキスゲの群落が見事だった。しかしこの時期は濃霧に覆われ、なかなか晴天でこの景色は拝めないという。いつか見てみたいものだと思いつつ、キスゲ平を後にする。

スタート地点から頂上の小丸山展望台まで1,445段、標高差約240メートルの階段。

スタート地点から頂上の小丸山展望台まで1,445段、標高差約240メートルの階段。

冬季は無料でスノーシューを貸し出し。白銀の世界を探訪できる。(写真提供:日光市霧降高原キスゲ平園地)

冬季は無料でスノーシューを貸し出し。白銀の世界を探訪できる。
(写真提供:日光市霧降高原キスゲ平園地)

温かみのある食器類は栃木県真岡市の工房「てまり窯」のもの。

温かみのある食器類は栃木県真岡市の工房「てまり窯」のもの。

雪積もる温泉郷で温まり
アートと美食で整う


県道169号をさらに北へ進むと大笹[おおざさ]牧場に突き当たる。2021年は丑年[うしどし]。年初から牛たちと触れ合えたらなんだか縁起が良さそうだなと思ったが、牧場の方に聞くと冬は屋内で飼育しているそう。鬼怒川[きぬがわ]と並走する県道23号を進み、国道を経由し湯西川温泉へと続く県道249号に入る。低重心で安定感があり、スムーズな加速が気持ちよいe-BOXERとワインディングは好相性だと改めて実感。冬季はこの辺りの道も積雪の可能性が高いため、スタッドレスタイヤやチェーンは必須だ。

久慈川の源となる八溝山[やみぞさん]山頂

「トンネルを抜けると雪国であった」とは川端康成。湯西川温泉へもいくつものトンネルを通っていくため、そんな一文をつい思い浮かべてしまう。湯西川温泉は壇ノ浦[だんのうら]の合戦に敗れた一門が隠れ住んだと言われる平家の里。約400年前にその子孫が源泉を見つけ傷を癒したという。川沿いに立ち並ぶ旅館では、関東でも屈指のアルカリ度を持つ源泉掛け流しの温泉を堪能できる。泉質はトロッとなめらかで、神経痛や疲労回復のほか美肌も期待できるという。この地の旅館は平家の食事風景を再現した囲炉裏を囲む夕食が名物。炭火で焼き上げた川魚や野菜を食し、囲炉裏の暖かさを感じつつパチパチとはぜる炭火の音に心も安らぐはず。

湯西川温泉のもう一つの名物が毎年冬季に行なわれる「かまくら祭り」。夜闇に白く浮かび上がる雪景色に、明かりが灯った小さなかまくらが無数に並ぶさまは神秘的。その美しさから日本夜景遺産にも認定されている。

沢口河川敷に広がるミニかまくらと、茅葺屋根の家が立ち並ぶ「平家の里」に出現するかまくら。開催状況については公式HPのご確認を。(写真提供:日光市観光協会) 沢口河川敷に広がるミニかまくらと、茅葺屋根の家が立ち並ぶ「平家の里」に出現するかまくら。開催状況については公式HPのご確認を。(写真提供:日光市観光協会)

沢口河川敷に広がるミニかまくらと、茅葺屋根の家が立ち並ぶ「平家の里」に出現するかまくら。開催状況については公式HPのご確認を。(写真提供:日光市観光協会)

翌日は霧がかかった山々を越え、那須塩原方面へ足をのばした。e-BOXERのモーターアシストが、減速してカーブを抜けた後の加速時に頼もしい。到着したのは、年間6万人が訪れるという日本最大級の足湯「湯っ歩[ゆっぽ]の里」。中央に位置する鏡池を囲むように、源泉掛け流しの足湯回廊が全長60メートルにわたり続く。泉質は浴後に清涼感があり、皮膚の清浄作用や美肌も期待できるという炭酸水素塩泉。敷地内には飲泉堂もあり、痛風や慢性胃潰瘍、十二指腸潰瘍などにいいという。足湯は入って右側がぬるめ、左側が熱めの湯で奥に進むほどに温度が上がる。施設名の通り、足の裏に心地よい刺激を感じながら歩いて湯を楽しむのがおすすめ。10分間隔で現れる鏡池の間欠泉も見逃せない。

浴槽には大小さまざまな形の石が埋め込まれており、歩くことで足ツボも刺激される。

浴槽には大小さまざまな形の石が埋め込まれており、歩くことで足ツボも刺激される。

施設の目印は鏡池から流れ落ちる湯滝。庭園散策もできる。

施設の目印は鏡池から流れ落ちる湯滝。庭園散策もできる。

見つけられたらラッキーなハート型の石。

見つけられたらラッキーなハート型の石。

さらに約30分東へ走り、レストラン&ギャラリー「北風と太陽」へ。ここは築70年にもなる旧戸田小学校を、2019年に障害者の就労継続支援事業としてリニューアルしたお店だ。那須塩原市では黒磯駅周辺から板室温泉までの板室街道沿いを「ART369」として、アートで地域を盛り上げるプロジェクトを行なっており同店も参画。校舎内の教室がギャラリーになっており、毎月さまざまな作家の企画展を実施しているほか、カフェエリアにも奈良美智[ならよしとも]や菅木志雄[すがきしお]など有名アーティストの作品がディスプレイされている。カフェでは昔懐かしい給食が食べられるのかと思いきや、ホテル出身のイタリアンシェフや和食の料理人、そして製菓学校で先生も務めていたという腕利きのパティシエによるこだわりの食事やスイーツが味わえる。ランチは野菜たっぷりの前菜盛り合わせにパスタやハンバーグなどのメイン、スープやパンもしくはライスにドリンクまでついて1300円(税込)〜。旬のフルーツを使った彩り鮮やかなケーキやパフェも人気で、開店してすぐに満席になることも少なくない。アート作品に囲まれながら、丹念に作られた料理を味わっていると、体にも心にも栄養が行き渡っていくように感じる。今回の旅でお会いした人たちはみな人懐っこく、朗らかで温かかった。数々の旅の思い出と人々の温もりを胸に抱き、帰路につく。

職員室を改装し、奥の壁には四季ごとに若手作家の作品を展示。

職員室を改装し、奥の壁には四季ごとに若手作家の作品を展示。

料理にはヤシオマスや那須高原和牛など地元食材を使用。

料理にはヤシオマスや那須高原和牛など地元食材を使用。

校舎の床や壁、椅子や机は一部再利用するなど当時の趣を生かした。校庭ではヤギも飼育され見物できる。

校舎の床や壁、椅子や机は一部再利用するなど当時の趣を生かした。
校庭ではヤギも飼育され見物できる。

今月のルート


日光市霧降高原 キスゲ平園地〜
湯西川温泉〜湯っ歩の里〜北風と太陽

ルートマップ イメージ

イラストレーション・もとき理川

今月の紹介ポイント


日光市霧降高原レストハウス

栃木県日光市所野1531
TEL 0288-53-5337
営業時間:9:00〜16:00(4〜11月は9:00〜17:00)
定休日:年末年始(1月1日は臨時開館)
http://www.kirifuri-kogen.jp/

湯西川温泉 かまくら祭り

栃木県日光市湯西川
TEL 0288-22-1525
(日光市観光協会)
開催期間:2021年1月30日(土)~2月28日(日)
※期間中、水・木休み。新型コロナウイルス等の感染症のまん延状況により内容を変更する場合がございますので、詳細は下記公式HPよりご確認ください。
http://www.nikko-kankou.org/

湯っ歩の里

栃木県那須塩原市塩原602-1
TEL 0287-32-3101
営業時間:9:00〜17:00(4〜11月は9:00〜18:00)
入館料:大人(高校生以上)200円、小・中学生100円、幼児(未就学児)無料
休館日:木曜(祝祭日の場合は翌日)
https://yupponosato.com/

北風と太陽

栃木県那須塩原市戸田708-1
TEL 0287-73-8700(予約不可)
営業時間:11:00〜16:00
(ランチL.O.13:30、14:00〜はカフェタイム)
定休日:火曜、水曜、第一木曜
https://www.instagram.com/
kitakazetotaiyou2019/

注)新型コロナウイルス(COVID-19)の感染予防のため、営業時間・営業内容に変更が生じる場合があります。

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