カートピア 雪が残る鳥海山をバックに鳥海ブルーラインを走るSUBARU BRZ | SUBARU
カートピア 雪が残る鳥海山をバックに鳥海ブルーラインを走るSUBARU BRZ | SUBARU

残雪と深緑のコラボレーションが美しい鳥海山を背景に、鳥海山鉾立展望台付近を走るSUBARU BRZ。
Photographs●小川宏子

SUBARU on the Road

人々が守り続けた文化と
自然が生む絶景

山形県酒田市〜飽海郡遊佐町[あくみぐんゆざまち]〜秋田県にかほ市

残雪と深緑のコラボレーションが美しい鳥海山を背景に、鳥海山鉾立展望台付近を走るSUBARU BRZ。
Photographs●小川宏子

日脚が伸び、より長く日中のドライブを愉しめる季節になってきた。今回は初夏のドライブをめいっぱい愉しむべく、海と山の絶景が一度に堪能できるという鳥海ブルーラインをはじめ、様々な絶景スポットを巡ることに。SUBARU BRZを旅の相棒に、早速山形県山形市をスタート。道中は残雪の美しい月山[がっさん]などを楽しみながら、まずは酒田市街地を目指した。

美術を楽しむ文化を
酒田の人々の支えに


山形市内から東北中央自動車道に乗り、約2時間。酒田中央ICを降りて、向かったのは本間美術館だ。酒田の豪商、大地主として知られた本間家4代目の光道[こうどう]が1813(文化10)年に本間家別荘として造ったもので、現在は建物と庭園をそのままに残しつつ、本間家所蔵の絵画や工芸品の展示を行っている。本館・清遠閣[せいえんかく]と池泉[ちせん]回遊式庭園・鶴舞園[かくぶえん]からなるこの場所は、江戸時代には庄内藩主酒井侯が領内巡視をする際の休憩所として、明治時代以降には皇室や政府要人をもてなす施設として使用され、様々な人が訪れた。2012年には国の文化財(名勝)に指定されている。

カートピア 本間美術館の日本庭園、鶴舞園の全景と清遠閣 | SUBARU

鶴舞園は緑の植物を主体とした日本庭園。晴天の日は鳥海山を借景とした風景も楽しむことができる。

清遠閣の1階にある下座敷に入ると、開け放たれた窓から眩しい新緑が飛び込んできた。厳しい冬を乗り越え、陽の光を浴びた木々の生命力と、管理の行き届いた庭園の美しさに圧倒される。庄内藩主酒井侯をはじめとする要人たちもこの場所から美しい庭園を眺め、心身を整えたのだろう。2階も同様に庭園の眺望を重視した作りで、開放感のある室内で本間家所蔵の美術品を楽しむことができる。日本一の大地主と言われた本間家は、大名に土地を貸したお礼として賜った美術品を数多く所蔵していた。「本間家は戦後、落ち込んでいた市民の心を美術で和ませたいと思い、この場所を美術館として開館したそうです」と、教えてくれたのは事務長の清野誠さん。酒田の人々が美術品に触れ、豊かな気持ちになってほしいという思いは今でも変わらないと言う。「全国でも珍しく、10万人都市に3つも美術館があるのは、市民の文化への理解度が高いからだと思います。最近は観光客が増えましたが、市民の方が美術に触れる機会の提供は変わらず続けていきます」と、語ってくれた。本間家が祖先より方針としてきた“地域貢献”は、今でもこの場所で脈々と息づいているのだ。

カートピア 障子が全て開け放たれ、庭園の緑を見ながら一休みできる清遠閣1階の喫茶室 | SUBARU

1階の喫茶室では、庭園を眺めながら山形県産のフルーツを使ったジュースや抹茶をいただける。

カートピア 山形県産ラ・フランスのジュース | SUBARU

喫茶室でいただけるラ・フランスジュース(400円)。濃厚な甘みが夏のドライブで疲れた体に染み渡る。

カートピア 長澤蘆雪が描いた子犬がプリントされたトートバッグ | SUBARU

江戸中期の絵師・長澤蘆雪が描いた子犬をモチーフにした同館のキャラクター、くーたくんのトートバッグ(1500円)。

カートピア 清遠閣2階の展示室は和室に置かれたガラスケースに様々な美術品が並んでいる | SUBARU

2階の展示室。約3,000点ある同館の所蔵品を定期的に入れ替えて展示している。

カートピア 主に絵画が展示されている、本間美術館の美術展覧会場 | SUBARU

美術展覧会場では、庄内に所縁のある作家の展示や企画展が行われている。

カートピア 美術展覧会場の前に停車しているSUBARU BRZ | SUBARU

1968年に新設された美術展覧会場は、建築家・伊藤喜三郎が手がけたもの。

緑と青が織りなす
2つの絶景


国道7号を北上し、飽海郡[あくみぐん]遊佐町[ゆざまち]へ。鳥海山のお膝元であるこの地には、“丸池様”と呼ばれ、信仰されてきた池がある。牛渡川沿いにある箕輪鮭孵化場の駐車場から歩いてすぐの森の中に丸池様は鎮座していた。直径約20m、水深3m50cmの池は澄んだ湧水で満たされ、水底に沈む倒木がはっきり視認できる程だ。差し込んだ陽光の絶妙な加減でエメラルドグリーンに輝く姿に思わず息を呑む。陽の傾きや季節によって見え方が異なるそうだ。丸池様は町内にある鳥海山大物忌神社[ちょうかいざんおおものいみじんじゃ]の境外末社である丸池神社の御神体として崇められており、古くから信仰対象として地域の住民から大切にされてきた。「ずっとこの地域に住んでいるので、丸池様は当たり前のような存在です」と、地元住民でもある鳥海山大物忌神社の権禰宜[ごんねぎ]、鳥海真史さん。丸池様も今では町の天然記念物に指定され、自然保護のためにほとんど人の手が加わっていないそうだ。長きにわたって丸池様を守り続けた人々のおかげで、今もこうして美しい姿を拝めていることにえもいわれぬ嬉しさを感じた。

カートピア 陽の光が当たってエメラルドグリーンに輝く丸池様 | SUBARU

全てが湧水なので、丸池様に沈んだ倒木は朽ちることがないという。

カートピア 丸池神社の御朱印 | SUBARU

鳥海山大物忌神社 吹浦口ノ宮では、丸池神社の御朱印がもらえる。(1枚500円)

カートピア 澄んだ水が流れる牛渡川には、青々とした梅花藻が揺れている | SUBARU

近くの牛渡川では透き通った水に揺れる梅花藻が。春〜夏にかけて小さな白い花を咲かせる。

カートピア 鳥海山大物忌神社 権禰宜の鳥海さん | SUBARU

お話を伺った鳥海山大物忌神社 権禰宜の鳥海さん。

カートピア 丸池神社にある「御水取り場」で湧水をすくって手を清める様子 | SUBARU

丸池様裏の「御水取り場」では湧水で手を清めることができる。湧水なので水温は1年を通して一定だが、夏は冷たく、冬は温かく感じるのだとか。

次は羽州浜街道[うしゅうはまかいどう]方面に向かい、鳥海ブルーラインを登ることに。山形県遊佐町と秋田県にかほ市を結び、総延長は34.9km。今回は山形県側からスタートし、絶景を目当てに鳥海山鉾立[ほこだて]展望台を目指す。きついカーブが連続するポイントがあるため、運転の腕が試されているようで少し緊張する。だが、細かなステアリング、ペダル操作にSUBARU BRZが即座に応えてくれるおかげで快適に走ることができた。ブナ林に覆われた山道を駆け上がっていくにつれ樹高が低くなり、眼下に青い海と平野が見えてくるように。そして、無事に海抜0mから1100mを登りきり、鳥海山鉾立展望台に到着した。クルマから降りるとすぐに山、海、空の全てが織りなす絶景が広がった。雄大な景色を前にして、先ほどまでの緊張が解ける。自分で運転したからこそ得られる達成感に満たされつつ、眼下に広がる海と山の絶景を暫し楽しんだ。

カートピア 主に絵画が展示されている、本間美術館の美術展覧会場 | SUBARU

5号目にあたる鳥海山鉾立展望台からの景色。山、海、空を一度に見渡せる開放的な風景は鳥海ブルーラインならでは。

カートピア 緑の中を駆け抜けるSUBARU BRZ | SUBARU

眩しい緑の中を駆け抜けるクリスタルホワイト・パールのSUBARU BRZ。

今月のルート


山形市街地〜本間美術館〜丸池神社〜鉾立展望台

今月の紹介ポイント


本間美術館

山形県酒田市御成町7-7
TEL:0234-24-4311
OPEN:
【4月〜10月】9:00〜17:00(入館は16:30まで)
【11月〜3月】9:00〜16:30(入館は16:00まで)
休館日:
【3月〜11月】無休
【12月〜2月】火・水曜日(祝日の場合はその翌日)
https://www.homma-museum.or.jp

丸池神社(丸池様)

山形県飽海郡遊佐町直世荒川57

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