Touring with SUBARU
森林の宝庫・山梨で
ヒーリングドライブ
山梨県大月市〜丹波山村
総面積の約78%を森林が占める山梨県は、全国有数の森林県。四季折々に移ろう大自然に身を置けば、山肌や渓谷に勢いよく流れる清流のせせらぎやマイナスイオンに包まれて、いつの間にか心も身体も解き放たれる。今回のツーリングは“癒し”がテーマ。森林を活かしたヒーリングプログラムを体験。デトックス効果も期待できる食事や効能豊かな美肌の湯で、日頃酷使している心と身体を労ります。道中は色づき始めた気持ちの良い林間コースの連続で、ドライビングも満喫!
薪火の熱でホットヨガ
野草膳で体調を整える
台風一過の澄み渡る青空が広がった初秋、中央自動車道大月ICから甲州街道へと走るピュアレッドのインプレッサG4。徳川幕府が整備して以来、宿場町として栄えた大月には、街道筋に古い木造の建物が今も残されている。まずは当地の名所「名勝 猿橋」へ。桂川の深い渓谷に架かる猿橋は日本三奇橋のひとつに数えられており、その形は実にユニーク。橋脚が使われず、両岸から張り出した四層の跳ね木によって支えられている。この橋は天保12(1842)年に刊行された歌川広重の浮世絵『甲陽猿橋之図』に描かれている。新たに架けられた橋に挟まれ景観は変わったが、ユニークな形状は当時の面影を残している。
今回、大月を訪れようと考えたのは、「大月ロハス村」での森林ヨガセラピーを受けてみたかったから。放置林となっていた裏山を整備したロハスの森に広がる約1.5kmのトレッキングコースを歩き、森の中でヨガが体験できるというものだ。問い合わせたところ、あいにく冬季はお休みとのことで、替わりに「ロハス薪ストーブホットヨガ」を薦めてくれた。「化石燃料ではなくロハスの森の間伐材を利用することで、森を守り環境にも配慮しています」と代表でヨガ講師の佐々木裕生子さんは話す。スタジオに案内されると、室内は薪火の熱で38℃ほどに設定され、スチーマーで温められたハーブがほのかに香る。初めてのホットヨガ体験。身体の硬い私は少々不安だったけれど、室温も湿度も高いため筋肉が伸縮しやすく、無理なくポーズを取ることができた。筋肉が硬くなりがちな冬場に身体の芯から温まり、大量の汗をかくことで肌や身体に溜まった老廃物が一気に洗い流され気分もスッキリ! 自然とお腹も空いてきた。
一日一組限定で宿泊できる道を隔てた「雲水舎」で、事前予約しておいた薬草膳をいただく。お品書きには“天秤座の薬草膳”とある。「こちらは大月で薬草家庭料理を提供する『薬草膳処 じゅん庵』のお弁当。月ごとの星座が臓器にもたらす影響を考慮した食材で、日ごとに異なる料理を用意してくれます」と佐々木さんが教えてくれた。天秤座は腰や腎臓・膀胱に影響を与える星座で、利尿作用を促すタンポポや腎臓の弱りを労る里芋、胃腸を整えデトックス作用も期待できる山椒の実、昔から万能薬と呼ばれるヨモギなどを使った料理7品にお椀と果物が付いていた。野草や旬の野菜、山菜、キノコがメインで物足りないかと思いきや食べ応え充分。独特の苦みや香りもアクセントになり、身体の内側から元気になれそう。「薬草膳処 じゅん庵」はここからクルマで約25分。これまで予約制のコース料理のみを提供してきたが今年からカフェを始めたと聞き、早速足を伸ばすことにした。
富士を仰ぐ林間コースで
山懐に抱かれた美肌の湯へ
甲州街道を甲府方面へ。初狩駅を過ぎて右手に入ると徐々に道が細くなり、やがて杉林が両脇に迫りクルマ1台がようやく通れる幅の川沿いの林道を進むことに。不安に駆られながらも小さな看板を頼りに進むと、杉林に埋もれるように佇む古民家があった。中を覗くと太い梁が渡る座敷の中央に囲炉裏火がはぜ、外気の冷たさが嘘のように温かい。店主の三田村純さんは今から30年前、近くのお寺の住職との出会いがきっかけで、この山懐に導かれるように東京から移住、薬草料理店を開いた。元々東京で喫茶店を営んでいたが、ここでは庭に自生する薬草が主な食材。「杉林を伐採したら自然と野草が生えてきました。それだけ生命力が強いんですね」と話す。カフェというより三田村さんのお宅に招かれたかのよう。山の清水で淹れた和のハーブティと野草クッキーをいただきながらおしゃべりしていると、体内の毒素が抜けていくようだった。
その後、甲州街道を経由し国道139号で北上、東京と埼玉の県境、丹波山村の日帰り湯を目指す。大岩壁が目の前に立ちはだかる標高634mの岩殿山[いわどのさん]をかすめると美しい山間コースが続くように。カーブの続く道はうっそうとした木々に覆われ、すぐ近くにまで山稜が迫る。斜め後ろには富士山の姿も。直前に通過した台風の影響からか路面状況の良くない箇所もあったが、G4の安定した走りで快適なドライブが愉しめた。ところで山梨県は森林面積が県全体の約78%を占める国内有数の森林県。そのうち約半分は、明治期の大水害に心を痛めた明治天皇から復興のために御下賜された恩賜林で、以来100年以上大切に育まれてきた貴重な森林。色づき始めた木々には木の実が付き、深まる秋を感じた。
日帰り湯は「道の駅たばやま」から吊り橋を渡った先にある。「丹波山温泉のめこい湯」はこの辺りでは珍しいpH9.8のアルカリ性単純硫黄泉。方言でつるつる、すべすべを意味する「のめこい」と命名されただけあって、ぬるっとした感触の湯が肌にまとわりつき、かすかな硫黄の香りが心地いい。裏手を流れる丹波川のせせらぎを耳に露天風呂でリラックス! 肌が潤い身体も温まったところで、紅葉ポイントの連続する国道411号を奥多摩方面へ向かおうか、甲府方面へ向かおうか迷うのだった。
今月のルート
東京〜大月ロハス村〜
薬草膳処じゅん庵〜
丹波山温泉 のめこい湯
今月の紹介ポイント
大月ロハス村
山梨県大月市駒橋3-3-13
TEL 0554-23-1169
ロハス薪ストーブホットヨガ体験料:1名3780円(80分、ドリンク付き。2名以上から申込可)
※ロハス弁当(星座別薬草膳)は別途1個につき1620円 ※体験の日程や雲水舎への宿泊は要問い合わせ。
http://lohasnomori.com/
山カフェ じゅん庵
山梨県大月市初狩町下初狩2302
TEL 0120-830-893
営業時間:11:00〜15:00
定休日:土・日曜
http://www.yakusou.server-shared.com/cafe.html
※現地より約2km手前からは大変道幅が狭くなるため、運転にはくれぐれもご注意ください。
丹波山温泉 のめこい湯
山梨県北都留郡丹波山村778-2
TEL 0428-88-0026
営業時間:10:00〜19:00(最終受付18:00)
定休日:木曜
入浴料:1日大人900円(中学生以上)、こども450円
小学生未満無料
http://www.nomekoiyu.com/
バックナンバー