カートピア11月号 TOURING With SUBARU

今回宿をとった「京都旅庵 然」の前で。SUBARU XV Advance。

Touring with SUBARU

京町家の宿に
住まうように旅する

京都府

今回宿をとった「京都旅庵 然」の前で。SUBARU XV Advance。

年中、観光客で賑わう京都だが、年末年始を避けると実は冬は穴場らしい。とは言え、冬の京都は寒い。本格的な冬を迎え冷え込む京都でも愉しめる旅の仕方はないものか。そんな思案の末、今回、試してみたのが「住まうように旅する」という方法。駐車場付きの京町家を宿とし、必要に応じてクルマで移動をすることで、寒い京都でも暖かく、いつもよりものんびりと旅をしてみることにした。駐車場に停めたのはSUBARU XV Advance。水平対向エンジンにモーターを組み合わせたe-BOXERを搭載したこのクルマは、街中を走ることが多い今回のドライブの良い相棒になってくれるだろう。

一軒貸しの町家で京暮らし気分


京都旅庵 然の庭に配されたつくばい。

宿を旅の中心に計画した今回の旅。宿をとったのは、東山の「京都旅庵 然」という京町家をリノベーションした宿だ。「京町家」とは昭和25年以前に京都に建てられた木造建築を指し、間口が狭く奥に細長い敷地、玄関から裏庭まで続く通り庭(土間)、外壁に廻らされた格子[こうし] などをその特徴とする。

京都旅庵 然の1階和室。庭に面して縁側もあり、庭を眺めながら寛げる。

京都旅庵 然の1階和室。庭に面して縁側もあり、庭を眺めながら寛げる。

京都旅庵 然の2階スペース。こだわりのアンティーク家具が配置されている。

京都旅庵 然の2階スペース。こだわりのアンティーク家具が配置されている。

「京都旅庵 然」も、その例にもれず、引き戸を開けると奥の庭まで続く通り庭。つくばいやもみじが配された庭は、縁側や和室から眺められる。土間には小さいながらキッチンや洗濯機もあり、まさに住むように滞在することが可能だ。

「京都旅庵 然」を含む「京町家の宿」を運営する田谷さんによると、「京町家の宿」全26棟のうち12棟に駐車場が用意されている。クルマに乗って京都市郊外まで足を延ばすのも良いし、クルマは宿に置いて散歩がてら近隣の名所を巡るのも良い。

南禅寺境内にある水路閣を見上げる。

南禅寺境内にある水路閣を見上げる。

「京都旅庵 然」は平安神宮や知恩院、京都国立近代美術館、京都市動物園などが徒歩圏内。また滋賀県の琵琶湖から引かれた「琵琶湖疏水」に関連する建造物も周辺に多くある。その一つ、水路閣を訪ねてみた。

水路閣は南禅寺の敷地内にあり、現在も琵琶湖から引かれた水がその水路を通って流れている。赤レンガでできた西洋風にも見える水路がお寺の敷地内を通っている風景はなんとも不思議な光景。取材時は雨天で紅葉にもまだ早かったにも関わらず、多くの観光客が訪れて写真を撮っていた。

水路閣の紅葉。

夜、日が暮れてから、東山山頂公園までクルマを走らせる。宿からは10分ほどだが、山を登るワインディングは街灯も少なく暗い。ハンドル操作に連動して進行方向を照らしてくれるステアリング連動ヘッドランプがありがたい。東山山頂の展望台からは京都盆地の夜景が見渡せる。京都まで来て、わざわざ夜景を見に行くというのも、クルマがあるからこそできること。これまでの京都旅とはちょっと違う愉しみ方ができた気がした。

東山山頂公園からの夜景。

東山山頂公園からの夜景。

町家を起点に、
ぶらり散歩&ドライブ


翌朝は祇園の「朝食 喜心 kyoto」を目指す。「ザ・日本の朝食」を愉しめる完全予約制の朝食店だ。知恩院を横目に眺め、八坂神社を通り抜けながら歩くと20分ほど。よほど寒くなければ、歩いてお腹をすかしていくのも良い。

ご飯の「煮えばな」を目や香りでも堪能。

ご飯の「煮えばな」を目や香りでも堪能。

向付の湯葉、一飯一汁が順番に提供される。

向付の湯葉、一飯一汁が順番に提供される。

スモーキーな京番茶を味わいながら、汁物やおかずを選ぶ。最初に出てくるのは、京都市内にある「ゆば工房 半升」の汲み上げ湯葉。大豆の甘みと旨みを味わっている間に土鍋のお米が火にかけられる。ご飯はめし椀にたっぷり盛らずに2、3口分ずつ。「お米」が「ご飯」に変わったばかりの「煮えばな」、じっくり蒸らしてふっくらさせた「ご飯」、最後は「おこげ」まで、お米の変化を愉しむ。昼食や夕食でさえ、こんなにじっくりと時間をかけてご飯をいただくことはなかなかない。「人を良くする」と書いて「食」とする心が腑に落ちる感覚だ。

高瀬川に面した立誠図書館&TRAVELING COFFEE。暖かければ川辺に座ってのんびりコーヒーを愉しむこともできる。

高瀬川に面した立誠図書館&TRAVELING COFFEE。暖かければ川辺に座ってのんびりコーヒーを愉しむこともできる。

「立誠図書館」にあるTRAVELING COFFEEの牧野さん。

「立誠図書館」にあるTRAVELING COFFEEの牧野さん。

「立誠図書館」の本棚は、元立誠小学校で使われていたものだそう。

「立誠図書館」の本棚は、元立誠小学校で使われていたものだそう。

朝食後、そのままぶらりと木屋町通まで歩いてみる。高瀬川沿いに、京都に関する書籍を集めた「立誠図書館」があるのだ。ブックディレクターの幅 允孝[はば よしたか]さんが選書した蔵書は「京都歩き」「食べる」、そして元々この場所にあった「立誠小学校のDNA」を伝える3カテゴリー。京都の情報を集めるにはうってつけの場所だ。図書館にはコーヒーショップも併設されていて、コーヒーも愉しめる。店主の牧野さんは京都のコーヒー情報に精通するカリスマ。信頼するロースター(焙煎士)に豆の産地や焙煎方法をリクエストして焙煎した豆を常時4、5種類置いている。コーヒー好きの方はぜひ牧野さんにそれぞれの豆のこだわりなどを聞いてみてほしい。

「旬の駅京都店」の店内には新鮮な地元の野菜が数多く並ぶ。ところどころに添えられたレシピが献立の参考になりありがたい。

「旬の駅京都店」の店内には新鮮な地元の野菜が数多く並ぶ。ところどころに添えられたレシピが献立の参考になりありがたい。

京都の情報、食の情報を仕入れたので、一度宿に戻り、今度はクルマで郊外に出てみる。向かうのは「旬の駅京都店」という農産物直売所。店内には近県で採れた野菜や果物、花木が山盛り。京都、大阪、奈良の人気パン店が出店する「パン屋さんのマルシェ」や、漬物や湯葉など京都の産物が並ぶコーナーもあり、夕食の食材や翌日の朝食、お土産まで揃えられる。

京都市内はまだ紅葉には早かったので、明日は嵐山の方まで足を延ばしてみようか、そんな相談をしながら、暮れ始めた黄色い光の中を京都市に向かってハンドルを握る。こんな風に気ままに旅をするのも悪くない。

今月のルート


京町家の宿 京都旅庵 然〜
東山山頂公園〜朝食 喜心〜
立誠図書館〜
旬の駅京都店 農産物直売所

今月の紹介ポイント


京町家の宿
(京都駅前レセプション)

京都府京都市下京区東塩小路町547-4
ステーションコートヤード1F
TEL 050-2018-1700
営業時間:9:00-19:00
https://www.machiya-inn.net/
今回泊まった宿:京都旅庵 然
京都府京都市東山区柚之木町356

朝食 喜心 kyoto

京都府京都市東山区小松町555
花とうろホテル祇園 1F
TEL 075-525-8500
営業時間:7:30-14:50(要予約)木曜定休
https://www.kishin.world/

旬の駅京都店

京都府八幡市八幡南山76
TEL 075-971-6161
営業時間:9:30-19:00
(1月以降の営業時間は9:00-18:00)
※12/31は18:00まで。年始は1/5から営業。

立誠図書館&
TRAVELING COFFEE

京都府京都市中京区蛸薬師通河原町東入備前島町310-2
TEL 075-585-5561
開館時間:11:00-20:00(不定休)
https://www.bunmachi.org/
※元・立誠小学校建物を利用した宿泊施設が2020年にオープン予定。立誠図書館もその中にリニューアルオープンしますが、それに向け、2020年2月以降は一時閉館予定。詳細はHPをご確認ください。

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