冷涼な気候になり、ツーリングには最適な季節がやってきた。
そこで今月はWRX STI Type Sをパートナーに選び、思いっきり走る愉しさを味わうことにした。向かった先は福島県磐梯山周辺エリアと栃木県日光周辺エリア。いずれも雄大な景色を眺めながら6速ミッションを操って愉しく走ることができるワインディングロードがたくさんある。取材を行なったのは10月初旬とまだ紅葉には早い時期だったが、この2つのエリアで標高の高い場所に行けばひと足早い紅葉も期待できる。クリスタルホワイト・パールのWRX STI Type Sが柔らかな秋の日差しを浴びて美しく疾走する姿をお楽しみいただきたい。
曇りのち雨…
それでも愉しいワインディング。
東京・恵比寿のスバルビルをスタートしたWRX STIは、首都高速から東北自動車道に入り一気に北上する。都心部を抜けてからはクルマの流れもスムーズになり、ミッションを6速にほぼ固定して快適な高速クルージングを愉しむことができた。
栃木県に入り、佐野藤岡ICを過ぎたあたりから周囲は山々に囲まれてきたが、どの山も緑真っ盛りで、秋の気配は感じられない。快適な走りを愉しんでいるうちにあっという間に福島西ICに到着。R115号を西に走り磐梯吾妻スカイラインに向かう。見事な紅葉を愉しめるこのルートだが、取材時はまだ紅葉が始まったばかり。それでもつばくろ谷にかかる橋のあたりからはチラホラと紅い葉が見られる。
磐梯吾妻スカイラインのつばくろ谷にかかる不動沢橋。
このカットを撮影した直後に厚い霧に覆われた。
ここから浄土平までは周囲の風景を愉しみながら気持ちよく走ることができるワインディング路が続く。人気があるルートなのだろう、平日でもクルマやバイクが多く、中にはブラインドコーナーの先からセンターライン側に身体を傾けて高速で侵入してくるライダーがいるので、こちらもしっかりとレーンをキープして走る。路面に凹凸や思わぬ傾きがあってもWRX STIはしっかりと思った通りのラインで走ることができる。
磐梯吾妻スカイラインを降り、磐梯吾妻レークラインを抜けて桧原湖畔を走る。桧原湖は1888年の磐梯山噴火によってできた湖沼の中で最も大きく、南北に約18㎞、東西約1㎞の細長い形をしている。東岸は交通量が多いが、西岸は一転して長閑な風景が広がっていた。かすかに霧が出てきたのだが、それが絵画的な風景を演出してくれた。
浄土平に近づくにつれ、木々も鮮やかに色づいていた。(磐梯吾妻スカイラインは11月中旬から冬期通行止めになります)
沿道の農作物販売所の男性に教えてもらったのが、峠から桧原湖を望むことができる西吾妻スカイバレーだ。陽はすでに傾き雨が降ってきたが、早速WRX STIを走らせた。一気に山を駆け上がる傾斜のきついワインディングはシフトワークが忙しくなるが、それもマニュアル車ならではの愉しさだ。山形との県境を越えたあたりで折り返し、今来た道を駆け下りる。日没後のタイトなコーナーでもステアリング連動ヘッドランプがカーブの先の見たい部分を照らしてくれるので、雨の下り坂ではあったが安心して走りを愉しむことができた。
桧原湖とWRX STI Type S
桧原湖とWRX STI Type S
桧原湖西岸の湖畔からの眺め。
湖を一周する道は景色が綺麗だが、陸上競技のランナーがトレーニングに使うこともあるので、注意して運転したい。
DCCDで日光のコーナーを
味わい尽くす。
翌朝は、今回の秋色探しツーリングのもう一つの目的地として選んだ日光エリアに移動した。東北自動車道を南下して西那須野塩原ICで降りる。南下するにつれて空はみるみる晴れあがっていった。が、お目当ての紅葉の気配はまったく感じられない。塩原から日光へ抜ける日塩もみじラインを走ってみたのだが、緑のトンネルといった風情であった。こぢんまりとしたコーナーはタイトで高低差もあまりなく、走りを愉しむというよりは、やはり色づく木々を車窓から愛でる方が良いルートであった。読者の皆さんがこの号を読んでいる頃、緑のトンネルが一斉に色づいていく様子を想像しながら走り抜けた。
竜頭の滝に近い黄葉の中を走り抜けるWRX STI。
次に向かったのは、日光市街の北側にある霧降高原。雄大な牧場や眼下に広がる町の風景を望める爽快なルートだ。ここも取材時はまだまだ夏景色であったが、車窓から吹き込んでくる風は秋の気配を運んでくれた。山上の牧場から日光の市街に降りていく道はバイクツーリングの人気ルートのようで、多くのライダー達の姿を見かけた。路面コンディションも良く、比較的高い速度で走ることができるコーナーが多いので、WRX STIも窓を開けて心地よい風を受けながらライダー気分で気持ち良く走り抜けてみた。
群馬県との県境にある金精峠へ至る道からの奥日光・湯ノ湖の眺め。
霧降高原道路を走るWRX STI Type S
霧降高原道路を走るWRX STI Type S
海外からの観光客で賑わう日光市街を抜けて、いろは坂を登り、最終目的地の中禅寺湖畔へ向かう。いろは坂は一方通行なので、対向車を気にすることなくワインディングを愉しめる。タイトで傾斜もあるコーナーが多いため、【オート】で走ってきたDCCDを【オート-】モードにセットする。すると、リヤタイヤがググっと押し込むようにしてクルマがコーナーの内側にシャープに曲がるようになり、トルクにもゆとりがあるので驚くほど軽快に山道を駆け上ることができた。クルマの動きと、ステアリングからタイヤがしっかり路面を捉えていることが伝わってくるので、タイヤの限界を超えた速度でコーナーに入ってしまうことがなく、助手席のスタッフも終始快適そうだった。
標高2,000mを超える金精峠の木々は
今回の取材時でもきれいに紅葉していた。
空の下、雄大な男体山と中禅寺湖の景観。
初秋の東北ツーリングを終え、恵比寿帰着時のトリップメーターは1355㎞。それでもまだまだ走り足りない…、WRX STIは、そんな気持ちにさせるクルマだった。
戦場ヶ原の夕景。初秋をむかえた竜頭の滝から戦場ヶ原の辺りは観光客でかなりの賑わいを見せていた。
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