新型WRX STI

COCOSUBA

ここがSUBARUです。Vol.42

新型レヴォーグ・新型WRX S4
に初装備した、

RAB(Reverse Automatic Braking 後退時自動ブレーキシステム)


新型レヴォーグ、新型WRX S4において、先進安全設備が大幅に拡充された。今回新たに開発・導入された技術のひとつが、RAB(後退時自動ブレーキシステム)である。後退時に障害物を検知して警報音でドライバーの注意を喚起し、回避操作が無い場合には自動的にブレーキをかけるシステムだ。今月は、このシステムを開発したエンジニアに話を聞いた。

2つの主な機能

新型レヴォーグと新型WRX S4の全車に標準装備したRABには2つの機能があります。ひとつは後退時に後方の障害物との距離を検知してドライバーに知らせる後方障害物警報機能、ふたつ目が後退時自動ブレーキ機能です。シフトをRに入れると自動的にMFD(マルチファンクションディスプレイ)の表示が切り替わり、後方の障害物までの距離に応じて赤、オレンジ、黄、緑の4色の警告表示と警報音で障害物との接近レベルをお知らせしドライバーの注意を喚起します。

また、後退車速が約1.5〜15km/hの範囲のとき、障害物と衝突の危険があるとシステムが判断した場合、エンジン出力を抑え、ブレーキ制御を行ない、衝突回避または被害軽減を図ります。そして停止後はドライバーの操作があるまで停止状態を保持します。後退時自動ブレーキを約1.5km/h未満の速度領域で作動しないように設定したのは、そのくらいの速度ではドライバーが意図的に後方の障害物に接近させようとしている場合があるためです。

RABの開発に携わった濱田祐介

RABの開発に携わった濱田祐介

ソナーの特性を徹底検証

後方障害物を検知するためのセンサーには、超音波ソナーを採用しました。ソナーには、静止物に対応できる、明るさの影響を受けない、ガラスや透明なモノ、均一な色調のモノも検出可能であるなどの特長があります。後退時の事故が多いと推測される駐車場での事故は、車両や静止物との衝突が大部分を占めており、ソナーの特長が後退時の危険回避に最適であることから、ソナーを採用しました。

これまでもアフターパーツの用品として、後方障害物警報機能はありましたが、メーカーの標準装備品としてソナーセンサーを採用するのは初めてでしたので、さまざまな場所や条件下で検証を実施しました。たとえば豪雨や降雪時、雪煙の中でセンサーに氷や泥が付着したときにどのような検知をするのか? また、柔らかい対象物は音波を反射しにくいため、後方にある雪壁の質が固いときと柔らかいときとではどのくらい反射強度が違うのか? 細い物体はどこまで見極められるのか? 坂道や段差のあるところで誤った検知をしないか? 等、想定されるシチュエーションでの検証を積み重ねていきました。

さまざまなデータを蓄積してソナーの特性を十分に把握した上で最適な感度を設定していますが、状況によりソナーが後方を正しく検知できないときもあります。そのような場合は、支援を一時停止させ、MFDとメーター内の表示によってドライバーにそのことを知らせるよう、システム設定しています。

システム作動のプロセスや警報音では、アイサイト開発で培われたノウハウを生かし、ドライバーに違和感を与えない、自然な制御や警報音に拘りました。特に警報音については、ドライバーが意図してクルマを寄せる場合もあるので耳障りにならないよう、周波数の低いメーター音を新たに作りました。

いざというときには緊急ブレーキをかける運転支援システムですが、日常的にはドライバーに違和感を与えないよう細部にまで気を配っているところが、常にヒトを中心に据えた技術開発を行なってきたSUBARUらしいところです。

RAB(Reverse Automatic Braking 後退時自動ブレーキシステム)

RAB(Reverse Automatic Braking 後退時自動ブレーキシステム)

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上はシフトをRに入れた際にMFDに表示される距離警報。障害物までの距離が90㎝以上1.5m以下なら緑、70㎝以上90㎝未満では黄+緑、50㎝以上70㎝未満では橙+黄+緑、50㎝未満になると赤+橙+黄+緑が表示される。MFDにRABのON/OFFスイッチがある。

上:マルチファンクションディスプレイ表示、左:メータ内表示

今月の語った人


濱田 祐介

濱田 祐介

株式会社SUBARU 第一技術本部 車両研究実験第四部 車両研究実験第一課

1984年宮崎県生まれ。大学時代に始めた写真撮影は、現在でも楽しんでいる。キッカケはコンパクトデジタルカメラで撮影した写真が思ったように美しく仕上がらなかったこと。その原因を追究し、写真教室にも通って技術を磨いていった。主に撮影するのは風景写真。2013年、群馬県に住むようになってからは、登山をしながら山の風景も撮影している。現在愛用しているカメラはコンパクトで軽いのにフルサイズの写真をきれいに撮影できるソニーのミラーレス一眼カメラα7。35㎜単焦点レンズを使用。

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