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ここがSUBARUです。Vol.43
後方視界を広げる
スマートリヤビューミラー
新型レヴォーグに新設定された『アイサイトセイフティプラス』は、アイサイトにさらなる安心をプラスする複数の先進安全技術をパッケージしたメーカー装着オプションです。今月はその中から、SUBARU初採用となるスマートリヤビューミラーについてご紹介します。
後方視界を映像でサポート
スマートリヤビューミラーは、リヤゲートガラスの内側に取り付けたカメラの映像をルームミラーに表示する機能です。
リヤカメラの映像を映さないミラーモードと映像を表示するディスプレイモードがあります。通常はミラーモードをお使いいただき、荷室に荷物を満載したり、後席に人を乗せたりしてミラーに映る後方視界が妨げられた時に、スイッチでディスプレイモードに切り替えることができます。ディスプレイの映像は、外光や後方車両のヘッドランプなどの周辺環境に合わせて輝度が切り替わり、強い光が差し込んだ時は、自動防眩機能が働きます。
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スマートリヤビューミラー
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スマートリヤビューミラーカメラ
蓄積された安全のノウハウ
現在は外装設計パーツであるフロントガラス内側に設置されているルームミラーですが、過去にはルーフトリムから支柱が伸びていたので内装パーツとして開発していました。そのため、SUBARUのルームミラーのノウハウは、内装設計部に蓄積されてきました。SUBARUが重視してきたのは、運転時にミラーを見た時に瞬時に焦点が合い、前方を見た時には視界を妨げないミラーの位置です。焦点を合わせやすくするには、ある程度距離がある方が良いのですが、遠すぎると手が届きません。またアイサイトが装備されてからはルームミラー操作時にステレオカメラに手がぶつからないような配慮も行なっています。シンプルなパーツであるルームミラーですが、ドライビング中に違和感なく安心して操作でき、常にきちんと視界を確保するためには多くのノウハウが必要なのです。
スペックの背後にある考え
今回はそのノウハウを活かしながら、画像を映し出すディスプレイの仕組みをミラーに取り込むという新たな取り組みに挑戦しました。私たち内装設計部の設計者が、電子部品を扱うのは初めてのチャレンジでしたので、マルチファンクションディスプレイやナビゲーションシステムの設計者が持つノウハウも活用しながら、スペックを決めるところからスタートしました。スペックはそのパーツの性能や耐久性などの基本プロフィールを左右する重要な目標数値です。先行して装備されている他社製品のスペックは、いずれも日本や世界の標準化規格に沿ったレベルでしたが、SUBARUのスマートリヤビューミラーのスペックは、安心してドライブを愉しんでいただけるよう、それらの規格よりも高い次元の基準値を設定しました。熱や湿度への耐久性については、最悪の条件でも故障しないよう、例えば赤道を越える海上輸送のコンテナ船内部の気温や湿度変化にも耐えうるような、既存品と比較するとかなり高いスペックに設定し開発しています。
また、万が一の故障時の安全にも気を配りました。ディスプレイが故障してしまった時は、ON・OFFスイッチで通常のミラーモードに戻るよう設計されていますが、ON・OFFスイッチが壊れてしまうことも想定できます。そのような場面でもSUBARUは、ミラー下部のモニター調整ボタンのいずれかを10秒間押し続けるとミラーモードに戻せるような二重の安全策をとっています。
このようにスマートリヤビューミラーは、高い目標をクリアしながら蓄積してきたノウハウがつまった、SUBARUらしさの塊であると言えます。
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万が一のときにミラーモードに戻せるように二重の安全策を施したON・OFFスイッチ
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ディスプレイの表示角はドライバーの好みに合わせて、左右1.5°、上下、回転1.5°の範囲で調整ボタンで調整できます。
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ディスプレイモードにしたときの見え方をルームーミラーに近づけるため、ルームミラーとほぼ同じ高さの位置にカメラを取り付けました。(写真はゲートの内側に設けられたカメラのカバー)
今月の語った人
髙野 裕三
株式会社SUBARU 第一技術本部 内装設計部 内装設計第一課
1978年福岡県北九州市生まれ。ツールを自分でチューニングして操ることが好きで、学生時代にはアルバイト代を貯めてチューニングしたクルマでダートやジムカーナのレースに参戦。現在も週末になると東京・八王子市にある大学のガレージで後輩たちと一緒にSUBARU VIVIOをチューニングし、栃木県の『ヒーローしのいサーキット』が開催している耐久レースにエントリーしている。カテゴリーはお金をかけず、頭を使って競う無改造車クラス。また、冬季には夜行バスで雪質の軽い蔵王に出かけて、スノーボードを愉しんでいる 。
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