ここがSUBARUですVoL.54
積載性、利便性、開閉速度にまで気配りした
新型フォレスターの
パワーリヤゲート
積載性と使い勝手の良さを求めて
新型フォレスターの荷室を設計する際、コンセプトとしたのは「ワクワクするような積載性の良さ」と「使い勝手の良さ」です。まず荷室開口部最大幅を1300mmに拡大し、関連部品のレイアウトを最適化することで「積載性の良さ」を向上しました。その中でパワーリヤゲート(以下PRG)では駆動方式を一新しました。従来はボディ側に駆動ユニットを組込んでいたため、荷室内側に張り出しがあったのですが、モーターをステー(ゲートを支える棒)に内蔵することでPRG未装着のモデルと同等の荷室空間を確保しました。
「使い勝手の良さ」については、PRGの開閉速度を徹底して見直しました。従来型のPRGでは“開閉速度を速くしてほしい”というご要望が多かったのですが、一方で速くしすぎるとゲートが身体に迫って来る圧迫感を感じてしまいます。そこで、モーターの出力を向上させて開閉速度を上げつつ、他車のPRGやクルマ以外の自動ドアの開閉速度なども参考にしながら、遅いというストレスを感じさせず、圧迫感もない最適な速度にチューニングしていきました。開く時の速度も、ボタンを押した直後の反応は速くして開き始めはゆっくりと、中間では加速させ最後は減速して開ききるように制御しています。
さらに使い勝手を高める二つの新しい機能を採用しました。ひとつは開閉スイッチの隣に新たに設けた“PRGロックスイッチ”です。これはアクセスキーを携帯してスイッチを押すことで、ゲートを自動で閉めてから車両をロックするもので、荷物を積み降ろしした後でアクセスキーを使って車両をロックするひと手間を省きます。アクセスキーが車内にある状態で誤ってこのスイッチを押した場合は、ゲートが閉まらないので安心してお使いいただけます。
二つ目はゲートの“手動操作オート移行制御”です。これはPRGに慣れていない方でも、手動操作感覚でお使いいただける機能です。ゲートが開いている時、ゲートの端や内側のハンドルを持って手動で開閉操作をすると、お客様のゲート開閉の意図をセンサーが読み取って、自動でPRGの開閉動作に切り替えます。ゲートの開度を少しだけ変えたいときには、手でゆっくりとゲートを動かしていただければ、ゲートの開度を調整することができ、好きな位置で止めることができます。
また、ゲートを開ける際にいつも同じ開度で止めたい場合は従来から採用しているメモリー機能をお使いいただくことで、より使い勝手の良さを感じていただけると思います。
従来型同様に安全対策には万全を期しており、開閉時に一定以上の抵抗が加わった場合には、反転(逆方向)に戻るようにしています。たとえば開くときに途中で後方にある壁などの障害物にぶつかった場合には閉まり、閉まるときに荷物が挟まったような場合には開きます。
SUBARUらしさは仕立ての良さにあり
改めてSUBARUらしいところは?と聞かれれば“積載性の良さ”を挙げたいと思います。それを見た目からも感じていただくために今回特に注力したのが“二次外観”です。二次外観というのはドアやゲートを開けたときに見えてくるパネル内側の部分のことで、普段は見えないところです。従来はゲートを押し上げるダンパー2本と左サイドにPRGを駆動するためのロッドが1本ありましたが、新型フォレスターでは左側ステーの内部にモーターを組込み、ステーを2本だけにしてシンプルな構造としました。さらにゲートを開けたときに見えてくるヒンジや凹凸等細部にまで気を配って質感を高めています。新型フォレスターでは、荷室の開口部最大幅を拡大し、積載性を良くしていますが、二次外観にまで気を配ったのは、積載性の良さを最大限にお客様に感じていただきたいという想いがあるからです。是非SUBARUのお店で実際に開け閉めしてPRGの使い勝手を確かめてください。
今月の語った人
茂木 義浩
株式会社SUBARU
第一技術本部 外装設計部
外装制御システム設計課
1988年群馬県館林市生まれ。中学〜高校時代にはサッカー部に所属。工業高校時代、足を骨折してサッカーができなかったときにロボットサッカー大会に参加。自律式ロボット2台を1チームにしてゴールを競うという大会で関東大会決勝トーナメントに進出した。ドライブが好きで、友人や家族と一緒に夏はキャンプ、冬はスノーボードに出かける。お気に入りのフィールドは夏、冬ともに愉しめる群馬県みなかみ町の宝台樹エリア。ゲレンデは初心者から上級者まで愉しめる多彩なコースがあり、キャンプ場は、他のキャンプ場と比べて1区画が広々としており、ゆったりとくつろぐことができるという。
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