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新型フォレスターに搭載した安心と愉しさを高める先進機能 ドライバーモニタリングシステム

新型フォレスターに搭載した
安心と愉しさを高める先進機能

ドライバーモニタリングシステム


新型フォレスター『Advance』に搭載されている新装備「ドライバーモニタリングシステム」は、インパネセンターバイザーに内蔵されたカメラがドライバーの顔を認識して安全運転をサポートしたり、おもてなしを提供したりする先進機能。今月はさらに高いレベルの安心と愉しさを提供するこのシステムの開発者に話を聞いた。

安心のために“車室内を見守る目”

現在日本で発生している交通死亡事故原因の過半数が「安全運転義務違反」です。中でも「漫然運転」「わき見運転」「運転操作不適」「安全不確認」などドライバーの不注意によるものがその大部分を占めています。※1

今回、新型フォレスターに搭載したドライバーモニタリングシステムは、そのようなヒューマンエラーを防止することを目的に開発した運転支援システムです。開発時にイメージしたのは“車室内を見守る目”です。このユニットはカメラとドライバーを照らす赤外線LEDが各一台、さらにその頭脳部分であるECUで構成され、すべてセンターバイザー上部に納まっています。

このシステムで今回実現したのは①わき見運転時の警報、②眠気、居眠り時の警報、③個人認識(量産車では世界初)によるおもてなし、の三つの機能です。

株式会社SUBARU 第一技術本部 電子商品設計部 電子商品設計第二課 中村 亮太

株式会社SUBARU 第一技術本部 電子商品設計部 
電子商品設計第二課 中村 亮太

走行中、一定時間以上目を閉じていたり、顔の向きを前方から大きく外したりするなど、ドライバーに眠気や不注意があるとシステムが判断した場合、警報音や警告表示で注意を喚起します。また、乗車時にドライバーの顔を認識し、あらかじめ設定しておいたシートポジションやドアミラー角度を自動的に再現します。さらに前回イグニッションOFFした際のマルチファンクションディスプレイの表示や、メーターディスプレイ表示、エアコン設定を再現し、登録したドライバーごとの平均燃費も表示します。最大五人まで登録でき、一人ひとりに合わせて細やかなおもてなしを提供します。アイサイトとも連動しており、衝突の危険がある場合、ドライバーモニタリングシステムがドライバーのわき見を検知した時には、警報のタイミングを早めます。

「わき見」「居眠り」を
正しく見極める

個人認識システム自体は空港のセキュリティカメラやゲーム機などで既に採用されています。しかしクルマに搭載するとなると話は別です。走行中の車内は光のコンディションがめまぐるしく変わり、ちょっとした路面の凹凸でドライバーの顔も揺れてしまいます。ドライバーモニタリングシステムはこうした環境条件の中でも常に安定した認識性能を発揮しなければなりません。さらにドライバーがどんな挙動をした時に“わき見”や“居眠り”と判断するのか? を定義付ける必要もあります。今回の開発で最も時間をかけたのはここです。クルマの内外を複数の視点から同時に撮影するカメラを積んだ試験車を用意し、さまざまな人に運転してもらって運転動作の詳細な統計データを作り、“わき見”“居眠り”と判断する領域を見出していきました。その際、実験部長から言われたのは「安全のためのシステムが運転中に煩わしさを感じさせてはいけない」ということでした。

例えば車線変更時にドライバーが後側方を目視しているのを“わき見”と誤判断してはいけません。同じ振り返る動作でも、その時のステアリングやウインカーレバーの動きといったクルマの状況、振り返っている時間などの情報を組み合わせることで、それが「わき見」か否かを見極めています。

株式会社SUBARU 第一技術本部 電子商品設計部 電子商品設計第二課 中村 亮太

株式会社SUBARU 第一技術本部 電子商品設計部 
電子商品設計第二課 中村 亮太

今回の開発で最も困難だったことはドライバーモニタリングシステムの配置場所です。SUBARUのクルマ造りにおいては、運転視界の良さやメーター類の視認性、スイッチの操作性など「0次安全※2」に対する厳格な取り決めがあるため、当初はどこにも配置できるスペースが無いのではないかと思うほどでした。将来構想も含めて検討した結果、センターバイザー上部に内蔵することになりました。ここもドライバー席からの左前方視界に影響するところですから、できる限りコンパクトに作らなければなりません。カメラとLEDを納める部分は樹脂材料を用いてバイザーの形状に合わせてデザインし、その奥にあるECUも0.1mm単位で高さを抑えるように工夫を凝らし、システム全体を最小約10㎜の高さで仕上げたのです。この薄さこそ安全に対する妥協のない想いが結実したSUBARUらしいところです。

※1:法令違反別死亡事故発生件数(平成28年)より
※2:「0次安全」クルマのカタチやインターフェースといった基本的な部分のデザイン、設計を工夫して、良好な視界を確保し、運転に集中できるクルマ造りをしようという考え方で、安全の基本となるSUBARUの設計思想です。

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(左)カメラ、赤外線LED、ECUが入ったドライバーモニタリングシステムは、0次安全のためにとてもコンパクトに造られている。(右)インパネセンターバイザー上部に内蔵されたカメラがドライバーの顔を認識。下のマルチファンクションディスプレイには各種の情報を表示します。

今月の語った人


中村 亮太 中村 亮太

中村 亮太

株式会社SUBARU 
第一技術本部 電子商品設計部 
電子商品設計第二課

1986年埼玉県越谷市生まれ。子どもの頃からスポーツが好きで中学〜大学までは硬式テニスに集中して取組む。学生時代にアルバイトでコーチを経験したことをキッカケに、お客様個々の立場に立った効果的なコーチングについて学び始める。大学ではシステム制御工学を専攻するが、お客様視点に立ったホスピタリティに興味を抱き、顔画像による読唇や認知心理学と連携した顔認知のメカニズムを研究。取得した資格もJDLA Deep Learning for GENERAL(G検定)や、福祉住環境コーディネーター3級と、多分野にわたっている。

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