ここがSUBARUですVoL.79
新型FORESTERの
ブレーキペダルストロークセンサー
ブレーキペダル
ストロークセンサーの役割
ブレーキペダルストロークセンサーは、ブレーキペダルの付け根の側面に取り付けられた5cm×5cmほどの大きさのパーツです。ペダルステーの動きに連動して動く部分とその動きを検出するセンサー部で構成され、ペダルが動いた角度情報を電気信号に変換してe-BOXERの制御全般を司っている“ハイブリッドECU”に送ります。“ハイブリッドECU”はこの他にもアクセル開度、車速、高電圧バッテリーの充電状態などの情報を受取り、車両の走行状態に応じてガソリンエンジンとモーターの駆動力を適切に配分して走行制御を行なっています。ブレーキペダルストロークセンサーの役割は、『減速時にドライバーに違和感を与えずに回生エネルギーを回収すること』です。
ここで回生エネルギーについて簡単にご説明しましょう。e-BOXERのモーターは、加速時にはバッテリーに蓄えられた電力によって駆動力を発生しますが、アクセルオフやブレーキペダルを踏むなど、減速時にはタイヤが回転する力を使って電力を発生する発電機となって電気エネルギーを作り出し、バッテリーに蓄電します。このように減速時に発生する回転力を電気エネルギーとして回収したものが回生エネルギーです。その際、発電機を回転させる力はエンジンブレーキのように車速を落とす力となって作用するため、これを“回生ブレーキ”と言います。回生ブレーキの減速力が大きいほど、得られる電気エネルギーは増えますが、同時にそれはドライバーの意思に反したクルマの挙動となり、運転の愉しさや安全を阻害する一因にもなります。その違和感抑制において、重要な役割を果たしているのがブレーキペダルストロークセンサーなのです。
ブレーキフィーリングも
燃費もUP!
今回、新型フォレスターのブレーキ開発においてはブレーキペダルアッセンブリーを新たなものに変更し、ペダルを踏んでから減速が開始されるまでの時間を短縮しています。さらに、e-BOXER搭載モデルでは、ブレーキペダルストロークセンサーも新型に変更しました。従来は抵抗体式と言って、センサー部分が物理的に接触することで電気信号を発生していましたが、新採用のセンサーは非接触式の磁気センサーが、検知した磁界を電気信号に変換しているため、信頼性、耐久性がアップしています。
また、10〜60度までの範囲の角度変化を0.1度以下の精度で検出します。ブレーキペダルの操作角度を正確に読み取ることで、ペダルを踏み始めてから油圧ブレーキが効き始めるまでのわずかな時間で回生エネルギーを回収し、油圧ブレーキが効き始めてからはその制動力に合わせて定常的な減速力をキープします。これにより、回生エネルギーの回収量を増やして燃費を向上しながら、油圧ブレーキの応答性、ブレーキフィーリングを更に高めています。
「安心と愉しさ」のために
モーターを使う
ガソリンエンジンと電気モーターを併用するハイブリッド車におけるブレーキ制御の方法は、何を目指して開発したのか、というメーカーの考え方が制動時の挙動となって現れます。「安心と愉しさ」を追求するSUBARUでは、e-BOXERにおいても「走りの愉しさや安心感を生み出すためにモーターをどう使うか」という思想で開発しました。“ドライバーの意思に即した違和感のないブレーキ制御”は、運転時の安心感に直結します。フォレスターAdvanceなど、SUBARUのe-BOXER搭載モデルにご試乗いただき、ブレーキペダルを踏んでいただければ、ガソリン車と同じ感覚で安心して減速できることがお分かりいただけるはずです。その滑らかで自然なブレーキフィーリングこそSUBARUらしさと言えるでしょう。私たちはこれからも、ハイブリッドの技術や知見を成熟させながら、「安心と愉しさ」を忘れずにe-BOXERの性能を追求していきます。
今月の語った人
渡辺 健
電動駆動設計部 電子制御設計課
長崎県佐世保市生まれ。高校卒業まで佐世保で育つ。今も故郷へ帰ると必ず食べるのが佐世保バーガー。お気に入りのお店は市内にあるKayaバーガー。しっとり系のバンズに大きなハンバーグとこってり味のソースで仕上げたパンチのあるバーガーだそう。大学時代から始めたインラインホッケーは、日常とは違うスピード感が魅力で埼玉県戸田市にあるホッケーリンクで現在も愉しんでいる。所属チームは「アップルズ」。同期の仲間と一緒に1年ほど前からキャンプも始めた。スキレットで作るおいしい料理レシピを研究中。
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